LifeStyleHotel ichi / 宿泊施設コンサルティング / コラム

事例に学ぶ

2026.09.28

人のいない宿で、温かさをどう手渡すか。
ichi のセルフチェックインのはなし

LifeStyleHotel ichi には、フロントがありません。お客様は、スタッフと顔を合わせることなく鍵を受け取り、一日一組だけの一棟で過ごして帰っていかれます。「人がいないのに、冷たい宿にならないのですか」。開業のご相談で、よくいただく質問です。今日は ichi の実際の仕組みから、その答えをお話しします。

高知で、まだ前例のなかったかたち

ichi は2019年11月、高知市愛宕町の元飲食店だった空き店舗を再生して開業しました。当時の高知には、無人・非接触型の一棟貸しホテルはまだ見当たりませんでした。開業から長いあいだ、スタッフを置かずに運営してきたのも、この宿の特徴です。

フロントに人を置かない運営が認められるかどうか、代わりにどんな措置が求められるかは、法令や自治体の条例・運用によって異なるとされています。施設の所在地を所管する保健所に、計画の段階で確かめておくことが欠かせません。ichi も、この点を保健所と一つずつ確かめながら仕組みをつくりました。

「会わない」ぶん、事前に手渡しておく

ichi のチェックインは、ご予約後の事前入力フォームとオンライン決済、そして館内のタブレットで完結します。ご到着前には、メールや LINE で道順や駐車場、鍵の受け取り方をお送りしています。

対面で説明できないぶん、迷いそうなところを先回りして、言葉と写真で手渡しておく。私たちが大切にしているのはここです。旅先で「どこに停めればいいのだろう」と立ち止まる数分をなくすことが、人のいない宿でできる、いちばん最初のおもてなしだと考えています。

人がいないのではなく、
人の気配を、先に置いておく。
LifeStyleHotel ichi の土間のリビングで、テーブルを囲んでくつろぐ二人
スタッフの目を気にせず、自分たちのペースで過ごせる。一棟貸しの宿がいちばん届けたい時間です(LifeStyleHotel ichi)

温かさは、設えが語ってくれる

扉を開けると、土間のリビングが迎えます。ヘリンボーンの床、猫脚のバスタブ、高知の作家がつくった器。誰かに案内されなくても、手に取るもの、足の裏に触れるものが、この宿がどう過ごしてほしいと思っているかを伝えてくれます。まちに暮らすように泊まる、という ichi のコンセプトは、スタッフの言葉ではなく、空間そのものに託しています。

空き家を宿にするとき、ここから考えます

セルフチェックインは、人件費を抑えるための仕組みとして語られがちです。けれど ichi で学んだのは、会わないからこそ、案内の言葉や設えにいっそう心を配る必要がある、ということでした。私たちがご一緒する宿づくりでも、許可の見通しと同じ時期から、この「迎え方」を一緒に設計しています。開業してからも、お客様の声を見ながら案内文や仕組みを直していく。その積み重ねを、オーナーの方と長く続けていきたいと考えています。

※本記事は一般的な情報と、LifeStyleHotel ichi での私たちの運営経験をまとめたものです。フロント(玄関帳場)の設置やその代替措置、本人確認の方法などの基準は、法令・条例の改正や所管の保健所ごとの運用によって異なる場合があります。詳細は個別にご確認ください。

人のいない宿の「迎え方」、一緒に考えませんか。

建物の場所と状況をお聞かせいただければ、セルフチェックインの仕組みづくりも含めて、開業までの見通しを率直にお伝えします。

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